「米心伝菓」の中核を担うお米の話

だんご、せんべい、武平作のお菓子の真ん中にはお米があります。
日本人にとって欠かすことの出来ない食事。武平作の味ともいえるお米を育てている田は、栃木の北、那須にあります。
今回は、武平作だんごの原料でもある米を作っていただいている農家、相馬様に会いに行ってきました。


名水の作る田園

那須は、栃木の北に位置しており、皇室御用邸もある自然豊かな土地です。
一年を通して寒暖の差が激しく、武平作本店のある栃木市と比べても、随分とその差を感じます。
そんな那須、江戸時代では「天領地」がすぐそこにあったほどの米どころだったという。
「夜の寒さが米に糖分を蓄えさせ、昼の暖かさで大きく育つんだ」
那須は大昔から、*灌漑用水が整備されていて、お米を作るのに那須連山の湧き水や那珂川からきている「那須疎水」が使われています。
*農地に外部から人工的に水を供給すること。

那須疎水は「日本三大疎水」の1つにも数えられるほど整備されており、なにより驚くのはその水量。これは、整備された年月をも語る。
ここ那須の地では、縄文弥生時代の遺跡が発掘されており、その研究から、太古から米が作れられていた可能性が高いことが分かっています。
相馬さんは四代目。
明治初期から続く、お米の農家さんでもありました。

繊細に米を作る

相馬さんは、いくつかの独自のポイントを持ち、そのルールに基づき、日々の観察をしていました。
まず1、土地作り
「土地作りが一番重要。出来上がりは全く違う。取れ高だって1俵以上違ってくる」
夏は暑く、冬は寒い。そんな土地で改良し続けるのは並ではありません。土を良い状態に保つため、なんと相馬さんは、肥料の開発にも携わっていました。

次に2、肥料の質とタイミング

「あげすぎはダメ。人間だって腹8分目。米だって同じだよ」

肥料メーカーさんと一緒になり、観察、仮説、実行、考察を繰り返しました。
いつあげたらいいのか。回数は。量は。
日々の観察の中で見えてきたのは、穂を植える幅です。


その3、穂数の制限。
「窮屈すぎると栄養が行き渡らない。陽の当たり方も変わってくれば、温度も違ってくる」
温度や陽の当たる時間を考える時、避けては通れないのが異常気象です。

最後の4、異常気象への対応

相馬さんは、万が一に対する備えに、投資は惜しまない。
大雨や落雷、雪が降ったとしても同じように、いつもの米を出荷することにこだわる。
「食べる人の顔が見えない。だから、努力は惜しまない。」

原動力は「おいしいと食べてくれる人がいること」

おいしいと食べる人がいること。それこそが原動力だと相馬さんは言いました。
事実、肥料作りまで手を出している農家は少ないです。
日々の努力や手間を見ていた肥料メーカーが、是非一緒にと誘ったのがきっかけだったと思います。
「考えること。行動すること。その上で、一生懸命しっかりと心を込めて育てる。」

到底見えない、大勢の消費者への愛。

その気持をしっかり受け取り、今日もだんご1つに乗せています。


左)米農家 相馬様   右)株式会社武平作:代表取締役社長 膝附武男